東日本大震災の発生から10年余りの歳月が流れました。地震・津波の被災地域においては復興が進んでいますが、我が国においては今後も南海トラフ地震など津波を伴う巨大地震の発生が危惧されています。
津波は、迅速かつ適切な避難によって、人的な被害を相当程度軽減できる災害です。今年度の「津波防災の日」スペシャルイベントは、「誰一人として犠牲にならない津波防災」をテーマに、様々な主体や視点から津波防災に取り組む方々の活動を、岩手県釜石市から発信します。
イベント案内チラシです。
二之湯智防災担当大臣
今村文彦 東北大学災害科学国際研究所 所長
第2部では、「誰一人として犠牲にならない津波防災」に向けて、各地の津波防災に関する取組の紹介と意見交換を行う
ファシリテーター:
鍵屋 一 跡見学園女子大学 観光コミュニティ学部 教授
登壇者:
丸木 久忠 釜石市防災市民憲章制定市民会議 議長
田村 康隆 酒田市総務部危機管理課 主事
杉安 和也 岩手県立大学総合政策学部 講師
上薗 怜史 NPO法人まちづくりツクミツクリタイ
大瀧 あずさ 四日市市自治会連合会 事務局長
村上 威夫 内閣府政策統括官(防災担当)付参事官(普及啓発・連携担当)
釜石市では、東日本大震災の経験から学んだ教訓を生かし、全ての災害から未来の命を守るため、市民有志による「釜石市防災市民憲章制定市民会議」を設立された。その後、幾度もの議論を経て、「備える」「逃げる」「戻らない」「語り継ぐ」の4つの教訓を柱とする「釜石市防災市民憲章」が平成31年3月11日制定され、命を守る市民の誓いとされた。
本発表では防災市民憲章の素案づくりに向けた活動について紹介いただく。
酒田市には、北西の沖合に浮かぶ山形県唯一の有人島「飛島」があり、人口174人(R3.8.31時点)で、島民以外にも観光客や工事関係者等が訪れる。津波が発生した際、誰一人として犠牲者を出さないためにも、専門家の協力を得て、現地踏査、島民アンケート、島民との交流会等を行い、津波避難対策の強化を進めている。また、現地の津波の特徴を知らず、土地勘がない旅行客らが、万が一の際に確実に避難行動をとれるように、飛島の避難路等を広く周知するための広報映像を作成した。映像では、観光客が過度に恐怖心を抱いて旅の楽しみを失わないよう、「防災」と「飛島の魅力」が同時に伝わるように工夫しながらも、津波の特徴や避難方法は確実に認識してもらえる内容とした。フェリー乗場待合室、フェリー内に加えて、Youtube等で放映する予定。
その他の市の取組として、飛島での廃漁船処理支援事業、市街地における24時間利用可能な、民間施設においての津波避難ビル利用活用事業等を実施している。
東北地方では、東日本大震災から10年が経過する中で、福島県沖地震、令和元年東日本台風、そしてコロナ禍といった新たな災害も経験してきた。これらの経験は、復興後の新たなまちなみが形成されつつある中で、各地区での防災計画の必要性を強く意識させるものとなっている。
杉安氏は東日本大震災の被災地の一つである福島県いわき市において、避難訓練を通じた地区防災計画の整備に携わってきた。
本発表では福島県いわき市薄磯地区の活動事例を中心に、過去の災害から明らかとなった避難行動時の課題と、それを解決するための各種の取組について紹介いただく。
NPO法人まちづくりツクミツクリタイは、津久見市周遊活性化対策協議会が実施した「津久見観光周遊性創出事業」(2015~2017)から生まれた市民団体。大分県津久見市のことが大好きで、より良くしたいと思うメンバーが集まり、誰もが気軽に地域の将来を語り、楽しみながら津久見のまちづくりを進めていくことを目的としている。
本発表では、いろんな人が繋がる催しや津久見の情報発信、まちづくり事業への取組などについて紹介いただく。
四日市市自治会連合会は、三重県四日市市内の723自治会、28地区の連合自治会をまとめた組織であり、自治会の加入世帯率は85.3%と全国的にみても高い加入率となっている。
四日市市は、沿岸部にコンビナート企業が立ち並ぶ産業都市であり、南海トラフ巨大地震の発生が危惧される中、津波等の災害に対する住民の危機意識は非常に高い。
四日市市自治会連合会では平成25年度から「男女共同参画の視点を取り入れた防災まちづくり」を推進しており、災害時の避難所運営に女性の意見が反映される多様な人々に優しい取組を実践している。
村上 威夫 内閣府政策統括官(防災担当)付参事官(普及啓発・連携担当)